研究紹介

研究の概要

東京大学生産技術研究所・藤井研究室では、1999年の研究室設立以来一貫してマイクロ流体デバイスに関する研究を進めてきました。マイクロ流体デバイスとは、MEMS(MicroElectroMechanical Systems)技術を利用して作製したマイクロ流路などの微細構造を持つ小型チップデバイスの総称のことで、最近ではμTAS(Micro Total Analysis Systems)と呼ばれる小型の生化学分析装置としての応用が有名です。そのような生化学分析でマイクロ流体デバイスを用いる最大の利点は、なんと言ってもその小ささにあります。分析や試験に必要な試料や試薬を混ぜたり反応させたりする場として、マイクロチャネルやマイクロチャンバーといった微小環境を利用することによって、試料・試薬の消費量を抑えられるのはもちろんのこと、スケール効果によって反応や混合を素早く効率的にかつ精密に行うことができるというメリットも生まれます。その結果、一般的な大型分析装置で行っていた時よりも、低コストで高精度な分析や試験が実現できます。また、装置自体が小型軽量になることで、例えば人が携帯しながら健康状態をモニターするヘルスケアチップや、患者が病院へ行くことなく自宅で医療検査を行うpoint-of-careデバイス、あるいは宇宙や深海といった極限環境に装置だけを送り込んでその場で計測・分析を行う現場分析装置など、さまざまな応用デバイスが近い将来、登場してくると期待されています。

私たちの研究室で行っている研究の内容は非常に幅広く、マイクロ流体デバイスが活用できるところならどんな分野にもチャレンジしています。最近は特に、 (1)マイクロ・ナノ流体デバイスの基礎技術(2)マイクロハイドローリクスの応用に関する研究(3)分子エンジニアリングデバイスに関する研究(4)細胞培養に関連するセル・エンジニアリングデバイスの開発(5)単一細胞解析デバイスの開発、そして(6)深海調査のための現場計測システムにフォーカスして研究を展開しています。その他にも、マイクロ流体技術を利用した新しい柔軟シート型緑内障治療インプラントデバイスの開発や、マイクロ流体デバイスを用いた細胞培養技術を生かして医療分野やコスメ分野ともコラボレーションを行うなど、私たちの研究は非常に多岐に渡っており、実用化を目指して研究を進めています。

(2016年8月)

研究の概要