in vitro糸球体モデルの開発

2018

概要

本研究の中心的課題は、創薬研究において、候補化合物による薬剤性ポドサイト障害をスクリーニングできるシステムを開発する事である。ポドサイトは、生体内において血管内皮細胞や基底膜と並んでスリット膜という濾過障壁を形成し、血液濾過において高分子蛋白が原尿へ漏出する事を阻んでいる。この濾過障壁の破綻は、薬剤によっても惹起される事があり、ネフローゼ症候群という高度蛋白尿から末期腎不全へと至る病態に至る。

ポドサイト培養デバイス

本研究では、培養ポドサイトを多孔膜上で、生体内の形質を備えた生理的な状態で培養し、候補化合物へ暴露させた後に基底側から蛍光標識アルブミンを含む培養液を灌流させ、頂端側の培養液蛍光輝度を測定する事で候補化合物のポドサイトへの毒性を評価する実験系を開発する。候補化合物がポドサイトに対し安全であればスリット膜は維持され、アルブミンは頂端側へ通過できず、逆に毒性を有していればスリット膜は破綻し、アルブミンが頂端側へ漏出してしまうという原理を想定している。様々な濾過流を再現可能な培養システムの開発を達成し、現在、多孔膜上で培養ポドサイトを生理的な状態で培養する条件検討を行っている。そのような中、不死化ポドサイトにおいても生体内のポドサイトと同様に、入り組む樹状突起構造を再現する事が可能である事を発見している。

温度感受性不死化ポドサイトの突起誘導

共同研究

  • 東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科
  • 木村研究室(東海大学)

研究予算

  • 日本医療研究開発機構 AMED