大規模海洋観測プロジェクトOMNI

低コストで構築、運用できる自由度の高い海洋観測システムを開発

2018

概要

気候変動や食物資源、天然資源に関わる様々な問題を解決するための鍵が海洋には潜んでいるが、詳しい調査が行われているのは全海域のほんの5%に過ぎない。そこでOMNIプロジェクトでは、低コストで構築、運用できる自由度の高い海洋観測システムを開発し、多様な海洋データを詳細かつ大規模に収集することを目指している。OMNIは完全オープンソース型プロジェクトであり、技術的課題やその解決策、実際の観測データはすべて一般公開され、誰もが共有できる。OMNIは単独で実施できるプロジェクトではなく、多くのパートナーの協力を必要としている。大学などの学術機関を始め、政府機関や民間企業、さらには個人協力者も巻き込んだ協働ネットワークを構築し、共同で研究開発を推し進めることでOMNIの大規模展開を実現する。

これまでに、浮遊型試作機を用いて55日間に及ぶ海洋試験を実施し、試験海域においてGPS位置、海水温、塩分濃度を測定し、LTEやLoRaWANといった通信網を介してそれぞれ21,547個のデータをリアルタイムで取得した。今後の開発ポイントは3つあり、一つめは、子供から専門家の研究者まで誰でも参加できるオープンなユーザーグループの構築、二つめは、低コスト化のため一般に普及しているセンサー技術を搭載すること、そして三つめは、海洋試験に向けて観測機の改良である。

OMNIデバイスの試作機 試作したOMNIデバイスを用いた海洋試験の様子

共同研究

  • 価値創造デザイン推進基盤(東大生研)