血中循環腫瘍DNA計測のための高感度デジタルPCRシステムの開発

2018

概要

血中循環セルフリーDNA(ccfDNA)は血漿中に懸濁した全てのDNA断片を指す。腫瘍に由来するccfDNAは循環腫瘍DNA(ctDNA)と呼ばれる。ctDNAは由来した腫瘍のゲノム情報を反映するため、非侵襲性腫瘍マーカーの役割を持ち、リキッドバイオプシーの非侵襲性腫瘍マーカーとして研究され、利用されている。しかし、ctDNAは大量の野生型ccfDNAと混合されているため、サンプルからのctDNA検出の感度が制限される。

本研究では、DNA固定化リンカー(DNAキャプチャービーズ)でコーティングされたマイクロビーズとpLウェルアレイを含むマイクロ流体チップを用いた新しいデジタルPCR(dPCR)システムを提案する。まず、DNA捕捉ビーズがハイブリダイゼーション工程を必要とせずに血漿/血清から直接DNAを捕捉する。次に、各DNA捕捉ビーズをpLウェルアレイに区画化し、続いてctDNAの存在を検出するためのPCRを行う。

これまでの予備実験では、DNA捕捉ビーズが金のマイクロビーズによる非特異的DNAの結合と比較して、2倍高い捕捉収率が得られている。さらに、DNA捕捉ビーズの表面に捕捉されたDNAを、ビーズから溶出させることなく直接増幅できる。DNA捕獲ビーズによって提供されるこれら2つの利点は、高感度ctDNA検出プラットフォームのための単純で堅牢なdPCR戦略の基礎となる。

開発中のdPCRシステムの概念図

共同研究

  • 産業技術総合研究所

研究予算

  • 科学技術振興機構