液滴インキュベーションに最適化されたシリコンチャンバーの開発

2018

概要

PDMSは液滴生成デバイスに用いられる一般的な材料であるが、その特性(機密性の低さ、低熱伝導率、自家蛍光、剛性の欠如)は液滴をインキュベートするのに理想的とは言えない。そこで、正確に温度勾配を制御しつつ300,000個の液滴を同時にインキュベートすることが可能な、観察のためのシリコンチャンバーを開発した。このチャンバーは、シリコン素材の強み(機械的強度がある、気密性が高い、熱伝導率がよい、光反射率が高い)を利用しつつ、低コストで簡易的なオペレーションでの観察を可能とする。

まず、シリコン上に長方形(約1cm × 6cm)を深さ約50μmまでエッチングすることにより、チャンバーを作製した。その後、光反射性を高めるためにAlの薄層でコートし、さらにそれらの表面を疎水性にするためにCYTOPの層でコートした。液滴をチャンバーに滴下し、同時にカバーガラスを上にスライドさせることでこれらを封入した。チャンバーはオイルと界面活性剤の薄層により密閉されており、数日間観察に利用することが可能である。その後、3Dプリントされた磁気を帯びたフレームの中でチャンバーをスライドさせ、観察を行う。

3D プリントで成形したフレームにはめ込まれた単層の液滴で満たされたシリコンチャンバー

共同研究

  • ロンドレーズ研究室(ESPCI)
  • 藤田研究室(東大生研)

研究予算

  • フランス国立科学研究センター