神経細胞の三次元電気生理計測デバイスの開発

2018

概要

脳の機能は神経細胞の複雑な電気的生理活動により実現されている。脳機能の解明のために、これまで神経細胞の電気生理計測実験、特に単一細胞の平面計測についての研究が盛んに行われてきた。しかし生体内における神経細胞は平面上に分布されておらず、複数の細胞が集まり、三次元的に存在している。そこで近年、生体内に近い構造を持つ神経オルガノイドに注目が集まってきている。オルガノイドとは、組織の細胞やES細胞、iPS細胞を自己組織化および分化させることで臓器と類似した解剖学的特性を持った三次元構造の組織である。現在ではオルガノイドの培養手法についての研究が多くなされている一方で、三次元形状を有しているオルガノイドの上部や内部の計測手法については、従来の平面計測技術では実現されていない。

本研究では、複数の神経細胞を塊状に培養することで、三次元形状を持たせたスフェロイドを計測対象とし、三次元形状組織の培養計測デバイスの開発を行っている。3Dプリンタを用いて作製した鋳型にPDMSを注入することで作製した半球面状のウェル内にスフェロイドを培養し、金属線を用いて計測を行うことができる、三次元形状の電気生理計測デバイスの開発を行っている。

開発中の三次元形状を持った電気生理計測デバイス

共同研究

  • レヴィ研究室(東大生研)
  • 池内研究室(東大生研)