研究紹介 2008

マイクロ流体の制御と計測

マイクロ流体デバイスを用いたマイクロアルギン酸ビーズの作製

機能性材料を利用した微細構造の作製は,バイオエンジニアリングにおける重要な基礎技術の一つである.とくにアルギン酸塩に代表されるような含水性の高分子材料を利用して微小なソフトなゲル状ビーズを作る技術は幅広い用途が考えられる.天然多糖高分子の一種であるアルギン酸塩は生体適合性が高く,細胞や薬液をカプセル化するための材料として最適であるため,ドラッグデリバリーシステムや再生医療等の研究において試料や試薬を輸送するためのソフトゲルビーズやカプセルとして利用されることが多い.

そこで本研究では,マイクロサイズの球形アルギン酸塩ソフトゲルビーズを生成することができるマイクロ流体デバイス(図A)の開発を行っている.まず界面活性剤(Span80)を含んだミネラルオイルと1.2%アルギン酸ナトリウム水溶液をマイクロチャネル内で合流させることにより,アルギン酸ナトリウム水溶液の液滴を生成する.生成された液滴はその下流部分で102 mMの塩化カルシウム水溶液に接触することで重合しゲル状のビーズへと変化する.その後,アルギン酸塩ビーズは比重の差によりオイル相から分離され,界面活性剤(Tween20)を含んだ102 mM塩化カルシウム水溶液でもう一度洗浄され,最後に0.9%塩化ナトリウム水溶液で洗浄される.このようにマイクロ流体デバイスを利用することにより,粒径一定の球形アルギン酸塩ゲルビーズを安定かつ連続的に生成することができた.

図A.マイクロ流体デバイスの外観

  • 参考文献:
  • [1] W-H Tan and S. Takeuchi, MEMS '06, 534-537 (2006).
  • [2] G. Orive, et al., Nature Medicine, 9, 104-107 (2003).
  • 共同研究先:
  • 酒井康行研究室(東大生研)